不滅の妖怪を御存じ?










洪水から二十日経った頃。

鬼道学園に復帰していた藍の元に、竹内蛍の意識が戻ったという知らせがきた。

その時いつものように有明と習字の練習をしていた藍は慌てて立ち上がった。
立ち上がった拍子に墨汁が有明にかかり文句を言われた気がしたが、気にしないでおく。

洪水が起こる数十分前。
佳那子たちに発見された時、竹内蛍は重症で倒れていたらしい。


「親の姿をした奴に殺されるのってすっげー怖えんだよ。昔父さんの眼鏡池に投げたのがバレた時以上の恐怖」

「あぁ、そう」


目が覚めた蛍はそう言って笑っていた。
怖かったのは本当だろう。

とっさに九木の爪を避けたのか、脇腹を少しえぐられ、意識不明の状態でいたらしい。
すぐに病院に運ばれ、一命はとりとめていた。

けれど、意識が戻るまでに二十日かかった。
その間、天音さんや竹内家の使用人が蛍の看病をしていたという。





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