不滅の妖怪を御存じ?





「あなた、名前なんていうの?」

「伊勢千秋。」

「そう。私は、」

「いいよ。君のことは別に。」

はぁ?と思わず藍は言いたくなった。
なんだこの失礼な男は。

伊勢千秋。

彼は一体何をしたいのか。
睨みつけても、伊勢千秋は気にする様子もない。


しかし、藍の怒りも彼が玄関を開けた瞬間吹っ飛んだ。
ガラッと開けた扉。

その先には、想像もしていなかった光景が広がっていた。

黒い車。
長い、黒い車があった。
後部に金と黒で蓮の装飾が施された小さな神社のようなものがのっかっている。

それは、まごうことなき霊柩車だった。
遺体を火葬場まで運ぶ、あのやけに目立つ車。
宮型霊柩車。


「これで行くの?」

「そうだよ。」

恐る恐る伊勢千秋に話しかけたが飄々と返された。




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