不滅の妖怪を御存じ?
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だだっ広い部屋の中心に、藍は一人座らされていた。
正面には着物を着た強面のおじさんが二十人ほど座っている。
端に、伊勢千秋が大人にも負けない貫禄で堂々と座っていた。
彼が藍のことを睨み続けているのは気のせいじゃないだろう。
気のせいでは済まされないレベルで目がつり上がっている。
一体私が何をしたというのか。
キリキリ痛む胃を抑えながら藍はそう思った。
藍の後ろでは百人ほどの十代前後の子どもたちがガヤガヤと騒いでいた。
部屋にいる人間の年齢層は幅広い。
「お静かにお願いします。」
パリッとした佳那子の声が響くと、場は水を打ったように静かになった。
ちらりと右を見てみると、少し離れた場所に佳那子が座っていた。
それから左を見れば、おかっぱの女の子が巻物と筆を持って静かに座っていた。
四方を知らない人々に囲まれこの状況はなんなのだ、と藍は心の中で嘆く。
もしかして鬼道学園というのは変な宗教団体なのかもしれない。
そんなことをふっと思ったとき、正面に座る髭を生やしたおじさんがようやく声を出した。
「有田藍さん。」
「は、はい。」
低くよく通る声だった。
思わず藍は背筋を伸ばす。