不滅の妖怪を御存じ?
「今回は本当にありがとうございました。九木の妖力の源を壊すとは、大変勇敢なお嬢さんですね。」
「い、いえ。」
笑うと皺ができ、柔らかい雰囲気になったおじさん。
だが、それだけでは藍の緊張は解けず、何でもいいから四方から突き刺さる視線をどうにかしてほしかった。
周りの視線を振り切るように顔を上げれば、真っ直ぐに見つめてくる目があった。
「聞きたいことがあるのですが。」
先ほどの柔らかい雰囲気とは一転して、真面目な顔でおじさんは口を開く。
「どうやって妖力の源を壊したのですか?」
口を真一文字に閉じたまま藍の表情は固まった。
言わなければいけないのか。
言いたくないな。
けれども、ビシビシと突き刺さる視線がそれを許さない。
「……スライムです。」
「……はい?」
眉を寄せたおじさんを見て、その反応も仕方ないよなぁ、と思う。
周囲の聴衆も少し騒ついた。
「友達からスライムを貰って、それを落としたんです。」
「……そ、それはどういった経緯で。」
「モップに躓いて落としました。」
よく考えたらこれは藍にスライムを渡した竹内蛍が元凶じゃないか。
目の前でポカンとしたおじさん方。