不滅の妖怪を御存じ?
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「可能性?」
藍と伊勢千秋は同時にそう聞き返していた。
おかっぱ頭で白い着物を着た少女はこくりと頷くと藍に一礼する。
「西文紫月であります。鬼道学園創立以来記録係としてお仕えしている西文家の次期当主でございます。以後よしなに。」
なんだか変な敬語を使う子だな、と藍はまず始めに思った。
記録係。
そんな役割の家系もいるのか。
「で、紫月。その可能性ってのは何だ?」
えらそうに伊勢千秋がそう尋ねると紫月は「はい」と小さく応える。
「東北地方の人々が蝦夷と呼ばれていた時代の噂話でございます。東北のある一族は妖怪が見え、話し、触れ合えたという噂話であります。」
淡々と語る紫月。
伊勢千秋はチラリと藍を見やる。
「……実家は岩手。」
「知ってる。」
視線を向けてきたのは藍の実家はどこだか知りたいわけじゃなかったようだ。
紛らわしい。