不滅の妖怪を御存じ?
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あの一連の騒動、いや、会議というものか。
藍が鬼道学園で伊勢千秋からの敵意をしかと受け取った後。
藍は何故か雑巾を渡された。
「掃除係りとして保護することにしたから。」
やけにいい笑顔でそう言った伊勢千秋。
藍も内心のむかつきを抑えながら雑巾を受け取った。
それから一週間ほどはありえないくらい広い鬼道学園の床を雑巾で拭き続けた。
地下にあるというのに廊下はカラッとしている。
そして広い。
どこまでいっても行き止まりがないんじゃないかと思うほど入り組んでいる。
上は60下は6くらいまでの幅広い年齢層が行き交い、一つの街のようだ。
そしてみんな和服しか着ていないから一見すると時代劇。
藍が廊下の隅にバケツを置いて一休みしていると、巫女服姿の佳那子が近づいてきた。
「藍ちゃん、お疲れ様。」
そう言ってお茶を渡してくれる。
「鬼道学園って広いね。」
「あぁ、京都の全部の寺と神社に繋がっているからね。」
ぶっ、とお茶を吹いた。
遠くで藍の方を見ていた女の子たちが顔をしかめる。
だが、今はそれどころじゃない。
佳那子の顔を見れば、大きな目をパチクリさせている。
「え、繋がってるって、物理的に?ワープとかじゃなくて?」
「やっだー!ワープなんて非現実的なのあるわけないじゃん!」
妖怪から人間を守る鬼道学園という存在そのものが非現実的だと思うのだが、藍は一応黙って笑っておいた。
京都の寺や寺院がどのくらい広く分布しているのかは分からないが、けっこうな広さであることは確かだろう。
とてつもない地下施設だ。
下水道とかとはどういうふうに折り合いをつけているのだろう。