あくまでも骨董屋です。
もう少しすれば、あの男の顔を見なくて済むと思うと、気持ちがずいぶん晴れて、その日の帰りは、一人で呑んで帰った。
「お客様。オルゴールは役に立ちましたか?」
ほろ酔い加減の、いつもの帰り道。背後から声を掛けられた。
「え?…って、あなた…」
あの日、オルゴールをくれた男性が居た。
「その様子だと、オルゴールは無事お役に立てたようですね」
そう微笑む男は、相変わらず人間とは思えないほど、綺麗だった。
「え…っと」
役に立ったと言うのだろうか?首を傾げて答えあぐねていると、男が苦笑した。
「答える必要はありません。あれが動けば私にはわかりますから」