あくまでも骨董屋です。


『それではここで、新婦、お色直しの為、退場致します』

司会者のアナウンスで、介添えの人に付き添われて雛壇を降り、ゆっくりと歩いていたときだった。

「危ない!」
「馨っ!」
「え…」

背中が、酷く熱くて痛かった。

「シャンデリアが落ちたぞっ!」
「新婦が下敷きになってる!早く救急車だっ!」

あぁ…そっか。私、怪我してるのか……。
結婚式が台無しになっちゃうな…

そんなことを思い薄らぐ意識の中、私はあの日の深夜に会った、あの男の言葉を唐突に思い出した。

命を掛けてーーー

あぁ、あれはこういうことだったんだな、と私は目を閉じた。


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