あくまでも骨董屋です。
「失礼ですが、なにか迷いをお持ちのご様子ですね。よろしければお話下さい。見知らぬ他人だからこそ、話せることもあると思いますよ」
やんわりと、優雅に微笑む男に見惚れた。
良くみれば、驚くほど整った容姿の男だった。年は20代後半というところ。
「あ…。いえ、別になんでも……」
なんとなく。
本当になんとなくだけど、得体の知れない何かを感じて、私は一歩下がった。
けれど。
「大丈夫。あなたに危害は及びません」
相変わらず柔らかく微笑んだままの男に腕を掴まれ、私はあっけないほど、簡単にその男に魅入られた。