あくまでも骨董屋です。

まるで悪魔にでも魅入られたかのようだった。

気付けば、私は彼とのこと、彼に対する本心を、全てその男に暴露していた。
その間、男は何も口を挟むことなく、相槌を打つだけだったのだ。

まるで女友達に愚痴を聞いてもらっているようだった。

否。

何も知らない相手だからこそ、親友の美香にさえ伝えていなかった恨み辛みさまでも、話してしまっていた。

最終的に泣き出してしまった私の頭を、男は優しく撫でて、そして、私の前に一つのオルゴールを渡した。


「もしあなたが、その彼をどうしても許せないのであれば、これを彼に渡しなさい」

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