産後1ヶ月
胸が痛い。


左右両方の乳房がびっくりするぐらいパンパンに張り、激しく痛み出したのだ。


乳腺が発達したのかよくわからないが、とにかくパンパン、いやむしろカチコチに張っている。


自分の腕が触れるだけでも痛い。


パジャマの隙間からチラリと胸元を覗いてみると、そこには自分の胸とは思えない程パンパンに膨れ上がった豊満な乳房が・・!


ホルスタインのようだ。


巨乳どころか爆乳、グラビアアイドルも真っ青。


なのにちっとも色っぽくない。


あまり良くないらしいが、あまりの痛さに冷たいタオルで乳房を冷やしてしまった。


妊娠中に胸が大きくなる話はよく聞くが、産後にこんな変化を見せるとは驚きである。


そして授乳中、右の乳首に猛烈な痛みを覚えた。


ピキーッ!と稲妻が走ったような鋭い痛み。

あまりの痛みにこそっと見てみると、乳首の先端からうっすら血が出ているではないか。


「ひ~」


どうやら乳首が切れてしまったらしい。


そりゃ痛いはずだわ・・。


切れた乳首に軟膏を塗り、その上に小さくカットしたラップを貼り付けた。


息子がお腹を空かせて泣き始めたら、ラップを取ってティッシュペーパーで軟膏を拭き取り、オイルで乳首のマッサージをしてまたティッシュペーパーでオイルを拭き取る。


この一連の作業を終えてようやく授乳が始まる。


ホッとしてはいられない。


息子が上手に飲めるようになるまでは、両手で息子の頭と自分のおっぱいを支えていなければならない。


そして吸われる度に襲ってくる右胸乳首の猛烈な痛み。


古い表現を使うなら、「涙がちょちょぎれる」程の痛みである。


だけどカチコチおっぱいをラクにする方法はただひとつ。


どんどんおっぱいを吸ってもらうしかないのだ。


ちょちょぎれそうになる涙を堪えながら授乳を終え、割れそうなお尻の痛みに耐えながらベッドに戻る。


「大変だわ、これは・・」


本当に大変だ。


妊娠中の「えらいこっちゃ」なんて可愛いモンだったのだ。


全身ボロボロ。


今の私にぴったりな言葉だと思った。
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