~時恋~ トキコイ
頭領に問いかけられ、沙織は答える。
「わ、私もよく分からなくて…花咲神社の祠に触れると願いが叶うと聞いて…友達にその祠に連れて行かれて、祠から声が聞こえて…それで祠に触れたら光に包まれ、気がついたらこの世界にいました」
「ほぅ、なるほどな…」
すると頭領は少し間を空けてから、落ち着いた趣で話し始めた。
「沙織、と言ったか。お主は行く宛があるのか?」
すると、沙織は痛いところを突かれたと言わんばかりに、苦笑いする。
「ないです……」
すると頭領は少し頬を緩め、
「なら、ここに住みなさい。女子一人、野宿させるわけにはいかぬ」
「そんな…!悪いです……!!」
「そうか?ならば…君にはこの屋敷の女人達の手伝いをしてもらうというのはどうだろうか?」