anjel






私の返事を最後に、会話が途切れる。


(これ以上、ここにいる意味ってないよね…?)


私はドアの近くに立っている先輩の横を通り、屋上から出ーーー…


「…え?」


左手に、温かい何かが触れた。


見ると、先輩が私の左手首を掴んでいる。


「名前…」


…名前?


「名前教えて」


まっすぐな瞳。


そらしたいのに、目がはなせない。


吸い込まれてしまいそうな、そんな感覚に陥る。







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