anjel
「やっと笑ったね」
私の一番近くにいるみっくん先輩が笑う。
「はい」
私がそう言うと。
「…!」
先輩は、右手を私の頭にのせた。
「大丈夫。」
「…?」
「幸望ならできる」
だから心配するな、というように微笑むみっくん先輩。
ゆっくりと頭をなでる手が、とてもあたたかい。
また泣きそうになるのを必死で堪えながら、
「ありがとうございます」
と言って、笑顔を見せた。
「じゃ、学祭の準備頑張ってね!」
「幸望りんファイト~!!」
「また来るからね」
「…泣くなよ」
先輩たちは口々にそう言うと、私に背を向けて、階段を下りていった。
「……ありがとうございます」
私はもう一度呟き、深々と頭を下げた。