anjel
「それにしても、サプライズライブは
本当にびっくりしました!」
まさかあの場所でもう一度歌えるなんて、
思ってもいなかったもん。
「思い出の場所だからね」
奏多先輩が言う。
「…俺らの出発点だしな」
そう言って微笑む翔先輩。
去年の、学祭。
みっくん先輩に声をかけてもらって、
入ったバンド。
私たちのデビューライブが、その日だった。
…もう、あれから1年もたったんだ。
実感わかないな……。
「幸望りん?」
「あ、はい」
「自分の世界入ってたでしょ(笑)」
「…ばれました?」
いたずらっ子のように笑ってみせると、
なぜか顔を赤くする亮二先輩。