anjel








「…ねぇ、"たかが"って、なに?」


そう呟いた私に、みんなが息を飲んだ。


私は翔の胸の中から出て、翔輝を見る。


「大切な、仲間なの。私にとっては、ここにいる先輩たちは私の大切な仲間なの!!嫌なことも辛いことも、先輩たちがいたから乗り越えてこれた!!」


そうだよ。


先輩たちがいなかったら、私は、


今でも過去にとらわれて、歌えてなかったの。


「私の気持ちも知らないで、"たかがバンド仲間"なんて言わないで。」


私はそう言うと、走って家の中に入った。


「幸望!?どうしたの!?」


おばさんが慌ててリビングから出てきたけど、私は2階の自室に駆け込む。


旅行用の少し大きなバッグを取り出して、着替えやら色々詰め込んだ。


そして、下に降りる。


「…おばさん、私、しばらく友達の家に泊まるね」


「え!?幸望!?」


「翔輝と、顔合わせたくない。」


そう言い残して、私は家を出た。


外にはまだ、先輩たちと翔輝がいる。










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