anjel







みんな私の手にある大荷物に驚く。


「えっ!?幸望りん!?」


「なに?その荷物…」


「…家出か?」


「幸望ちゃん、さすがにそれは……」


「いいんです!…今は、翔輝の顔なんて見たくない」


私はそう言って、走り出した。


行く当てなんて、なにも考えず、ただ走った。


走って走って、気づいたら朱里の家の前にいた。


「はぁ…はぁ……」


携帯で時間を確認する。


…ダメだ。


もう、11時前。


いくら朱里ママと仲良くても、


こんな夜中に押しかけるほど図々しく出来ない。


今日はどこかの公園で野宿でもするかな…


なんて、バカな事を考えてたそのとき。


「はぁ…はぁ……。やっと見つけた……!」


聞き慣れた声がして振り返ると、そこには息を切らせたみっくんがいた。


後ろからは、亮くんや奏ちゃん、翔も走ってきている。


「こんな夜中に女の子1人で走っちゃダメでしょ?」


苦笑いのみっくん。


私の側に来て、私の頭をそっとなでる。













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