anjel








なんにも考えてなかった…。


もう、このまま野宿でもしようかな、


なんて考えていると。


「今日はみんなでライブハウスにでも泊まる?」


「…え?」


「風呂は近くの銭湯に行くとして…。夏だし布団なくてもいいでしょ?」


みっくんがそう言った。


ライブハウスに、みんなで…?


「で、でも、先輩方に迷惑かけちゃう…」


私の勝手で家出してきたのに、


先輩方を巻き込めないよ…。


「俺は平気だけど?」


「…俺も」


「コンビニでアイス買ってから行こ〜!」


「…ね?みんな、幸望ちゃんのためなら大丈夫だよ」


ああ、なんで、ほんと、


こんなに優しいんだろう。


私のために、ここまで………


「ありがとうございます…!」


私がそう言うと、「じゃ、コンビニにレッツゴー!」という亮くんの声が聞こえてくる。


「…亮二のおごりだな、これは」


「じゃー俺ハーゲンダッツ」


「…俺も」


「ええ!?」


こんな何気ないやりとりだって、私の心を癒してくれるなんて。


本当に、私は先輩たちがいないと、駄目なんだ……









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