anjel
「って、悩みの種増やしちゃったか。ごめんね」
「いえ!そんな……。大丈夫です」
「…まあ、ゆっくりでいいよ。ね?」
顔を上げると、優しい笑顔。
つられて私も笑顔になるから、不思議。
「ありがとうございます」
そう言うと、みっくんは私の頭をなでなでした。
20分くらい歩くと、ようやく家に着いた。
…久しぶりだなあ。
家出とか、初めてだったもん。
みっくんに外で待っててもらうことにして、玄関のドアを開けた。
「あら?幸望!おかえりなさい!」
リビングからおばさんが出てくる。
「た、ただいま…って言っても、荷物取りに来ただけなんだけどね」
「そう…。まだ帰ってこないの?」
「…うん。ごめんね」
そう言うと、「大丈夫よ」と言って微笑むおばさん。
私は部屋に行って、学校の用意をカバンにつめだした。
制服、教科書、筆箱……
お弁当は、購買にするとして…
あとは……
『ガチャ』
「…幸望?」