anjel








…ほん、とうに?


私が、全部悪いの?


……違うでしょ?


いつも、怒られてばっかりで、


仕方ないなんて思ってた。


でも、でも………!


「…おい、幸望聞いてんのか?」


「……して。」


「え?」


「離して。」


「…は?」


「その手を、離してって言ってるの!」


突然声を荒げた私に驚く翔輝。


「なに言って……」


「どうして、いっつも怒ることしか出来ないの?そんなに私、怒られるようなことばかりしてる?」


翔輝のほうに振り返る。


いつも、下ばかり向いて話を聞いていた。


…でも、今日は翔輝の目を見て話す。


「帰って来るの遅いって言うけど、翔輝はどうなの?友達と遊びに行って、普通に11時くらいに帰って来るじゃない。それは、いいの?じゃあ、どうして私は駄目なの?」


「幸望……」


「付き合ってるのに、怒られてばっかりだし、これじゃあ付き合ってない時と変わりないじゃない!」


付き合う前と、おんなじじゃない……


「…もう、やだよ……。楽しい打ち上げでも、帰ったら翔輝のお説教が待ってると思ったら、楽しくなるなる……。そんな思いするの、もうやだ……」


我慢していた涙が、一粒頬を伝う。


翔輝は、ただ呆然と立ち尽くしながら、


私の話を聞いていた。










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