anjel
家に帰ると、玄関で翔輝とばったり会ってしまった。
「……」
チラッと私を見ると、すぐに2階にあがる翔輝。
…怒ってるよね。きっと。
私はリビングにいるおばさんに声をかけてから、2階にあがる。
荷物を置いて着替え、翔輝の部屋に向かう。
いざノックをしようとドアの前に立つけど、
緊張で手が動かない。
…やっぱり、今日はやめようかな……。
でも、みんなが背中押してくれたし、
今日やめたら、絶対もう話せない。
よし、と心の中で呟き、ドアをノックした。
『コンコン』
「…翔輝?幸望。」
「…ん」
ガチャ、とドアを開けると、机に向かう翔輝がいた。
「話、あるんだけど…。今大丈夫?」
「うん、大丈夫」
カタっとシャーペンをおいて、私のほうを向く翔輝。
私は意を決して、口を開いた。