anjel
「昨日、翔輝と話した後から、たくさん考えたんだけど……」
「……」
「私ね、翔輝のこと、好きだよ?」
「幸望…」
「…でも、」
でも、ね?
「この"好き"は、恋愛感情の"好き"じゃないの……」
家族に対する、感情なの。
「私も、ずっと、翔輝のこと好きだった。付き合ってからも、その気持ちは変わらなかった。恋愛感情の"好き"なんだって思ってたけど……」
「翔輝を想う気持ちと、おばさんを想う気持ちが、一緒なの。」
「…っ」
「…だから、ね?……別れよ……?」
私はそう言って、翔輝に近づく。
「これからも、翔輝を好きな気持ちは変わらないよ。」
「幸望……」
私は翔輝に背を向けて、部屋から出ようとした。
と、その時。
「…言い逃げはねぇーだろ」
後ろからぎゅっと、抱きしめられる。
「お前みたいに、正面から話す勇気出ないから、このままで聞いて欲しい」
「…うん」