anjel
そして次の日。
「やばいやばい!!やばい!!」
「亮二の緊張うつる!」
「…お前らうるさい」
路上ライブ本番まであと2時間。
午前中はゆっくり休んで、昼から5時まで練習。
そして、7時から最寄り駅で路上ライブをする。
今は休憩中で、みんな好き勝手にくつろいでいる…はずなんだけど。
「だってやばいもんはやばいじゃん!俺緊張しすぎてミスりそう…」
「亮二ミスったら俺も危ないし…」
「…うるさい。静かにしろ。ミスるな。」
「と、とりあえず落ち着きましょう!」
「とか言いながら幸望りんも緊張してるんじゃない?」
ドキ。
緊張……するに決まってる。
学祭の時にしたライブは、ちゃんと聞いてくれる人がいる前だった。
でも、今日の路上ライブは全く異なる。
…聞いてくれる人が、いない状況。
忙しく足を運ぶ人たちの前で、
どうやって止まってもらうのか、
私はそんなこと分からないのに。
「…幸望、落ち着け。お前がいつも通りに歌ったら、俺らもいつも通りに演奏できる」
翔の言葉に少し気持ちが楽になる。
「幸望ちゃんはいつも通り、みんなに歌を届けることを考えて歌ったらいいよ」
と、奏ちゃんが言う。
「…はい。頑張ります!」
大丈夫。
いつも通りにやれば、…出来るはず。