anjel
それより心配なのは。
「…みっくん、来ますかね」
私の一言に、少し空気が重くなる。
「…瑞希なら来るでしょ!」
大丈夫だよ!と笑う亮くん。
その笑顔の裏に、不安そうな気持ちが隠れていること、私たちにはバレバレなんだよ?
亮くんも、みっくんいなかったら不安だよね……
あと1時間まで迫っても来ないみっくん。
私は電話しようとカバンから携帯を取り出した。
…そのとき。
『ガチャ』
「「「「っ!」」」」
「お待たせ」
いつもの、みっくんの笑顔。
「瑞希〜〜〜!」
「ちょっ、亮二暑い!」
「瑞希おせーよ!」
「ごめん、奏多」
「…待ちくたびれた」
「はいはい」
みっくんの登場に、みんなの顔に笑顔が浮かぶ。
それはもちろん私もで。
「…来てくれないかと思いました」
「ごめんね幸望ちゃん」
大きなあたたかい手。
一定のリズムで頭を撫でられる。
心がポカポカして、気持ちいい。
バンドのリーダーが亮くんだとしても、
バンドの精神安定剤は、みっくんなんだ。