anjel
その日の8時半。
「「「「お疲れ〜!」」」」
「お疲れ様です!」
カチン、というグラスのぶつかる音で、
路上ライブの打ち上げが始まった。
と言っても、いつものライブハウスの控え室で簡単な打ち上げなんだけどね。
「あー!最高だったな!!」
「すっげ〜楽しかった〜!」
「…客の感想が直に伝わってくるな」
「私泣きそうでした!」
各々に感想を言い合い、反省会も兼ねている。
「曲順も大切だよな〜」
「ノリのいい曲を連続する方がいいのか、バラードを連続する方がいいのか…」
「…そこらは客の反応を見て研究だな」
「そうですね…。人それぞれ好みは違いますし、難しいところですね」
「まー、とにかく、これからも路上ライブで鍛え上げようぜっ♪」
「普通にライブハウスでライブもしたいしな!」
「…グッズとかも作りたい」
「それいいですね!!」
そんな未来の話をするだけで、
どんどんやる気が出てくる。
もっと聞いてくれる人の感想を聞きたいな。
もっとギターの練習してちゃんと作曲できるようにしたいな。
作詞も、もちろん。
歌唱力の向上、ライブの雰囲気の作り方…
いくら時間あっても足りないよ。
…でも、全部成し遂げたい。
私、前よりポジティブになれている気がする。
やっぱり、バンドのおかげだな……