anjel
それからみっくんの返事は来ることなく。
「じゃ、今日も頑張ろっか〜♪」
亮くん、奏ちゃん、翔が来て、
バンドの練習が始まった。
毎日毎日練習なんて、することなくなるんじゃない?
なんて思ってたけど、そんな事ない。
むしろ、毎日してても足りないくらい。
毎日歌ってても、毎日完璧に歌えるわけじゃない。
少し音がずれたり、響かなかったり、
気持ちが相手に届かなかったり。
自分の歌い方しだいで、相手にどう届くかも変わるから、
その日の私の気持ちの持ちようにもよる。
そんな事に左右されず、完璧に歌えるようになりたい。
だから毎日2時間ほど早く来て、
自主練してるんだ。
『〜♪』
"You Know"が流れ始め、私は歌い出した。
この曲は、先輩たちが私のために作ってくれた曲。
そう思うだけで、感謝の気持ちが溢れてくる。
流れてくる音に私の歌を合わせて作るハーモニー。
『〜♪』
…あれ?
少し、ズレてる。
私の歌と、先輩たちの音が、合ってない。
音程がズレてるわけじゃない。
もっと、深いところ……
そう、気持ち。
いつもの先輩たちの音じゃない。