anjel
「みんな……」
「…瑞希、もう、他人のことばかり考えるな。少しは自分のことも考えろ」
「俺らの前では、素でいろよ!」
「学祭の時みたいに、弱音吐いていいんだよ?」
3人の言葉を合図にしたかのように、
大きな泣き声が聞こえてきた。
それは、初めて聞くみっくんの泣き声で。
病室に入って、抱きしめたい衝動に駆られる。
いつも、一人でいっぱい背追い込んで、
他の人のことを優先的に考えて、
自分のことは後回し。
他の人の出来事に一喜一憂したり、
いつも笑顔でいてくれたり、
たくさん相談に乗ってくれたり……。
今までのみっくんの思い出が走馬灯のように脳裏に巡る。
みっくん。
みっくん。
みっくん。
その名を、ここに繋いでおきたい。
どこへも行かないように、
繋ぎとめておきたい。
そんな願いは叶うことなく。
「……っ」
病室の外で一人。
涙を流しながら、みっくんが泣き止むのを待っていた。