anjel








「みっずきー♪」


「…病院」


「亮くん静かに!」


「幸望ちゃんにまで怒られてるし(笑)」


ハイテンションで813号室に入っていく亮くんを、


翔と私で咎める。


それを見て、笑う奏ちゃん。


「いらっしゃい」


ベッドの上で、弱々しく笑うみっくん。


また、痩せた。


頬がこけてる……


「みっくん…ちゃんと、ご飯食べてますか?」


私の質問に、苦笑いをする。


「気分がいい時は、食べてるよ」


てことは、食べないことが多いんだ。


きっと、足りない分は点滴で補っているんだろうけど、


ちゃんと食べなきゃ元気でないのに……


「じゃあ今度、私がケーキ焼いてきますね」


それなら食べてくれるでしょ?と明るく言う。


"みっくんの前では泣かない"って決めてるんだ。


「じゃあ…フルーツタルトがいいな」


「分かりました♪明日持ってきますね!」


「いいなー幸望りんのケーキ〜」


亮くんの言葉にみんなが笑う。


「みんなで食べようよ」


なんて言うみっくん。


ほら。


自分が病気でも、こうやってみんなに気を配って。


優しすぎだよ本当。


「食べられないフルーツとかありますか?」


「んー…特にないかな」


「俺も何でも好き〜♪」


「亮くんには聞いてないです」


「幸望りんまで冷たくなってる!!」


また、笑い声に包まれる病室。


みっくんを見ると、弱々しいけどちゃんと笑ってて安心した。


でも、気づくと苦しそうな顔をしている。


…待ってて、みっくん。


もうすぐ私が、みっくんを笑顔にしてみせるから。










< 564 / 600 >

この作品をシェア

pagetop