anjel
「みっずきー♪」
「…病院」
「亮くん静かに!」
「幸望ちゃんにまで怒られてるし(笑)」
ハイテンションで813号室に入っていく亮くんを、
翔と私で咎める。
それを見て、笑う奏ちゃん。
「いらっしゃい」
ベッドの上で、弱々しく笑うみっくん。
また、痩せた。
頬がこけてる……
「みっくん…ちゃんと、ご飯食べてますか?」
私の質問に、苦笑いをする。
「気分がいい時は、食べてるよ」
てことは、食べないことが多いんだ。
きっと、足りない分は点滴で補っているんだろうけど、
ちゃんと食べなきゃ元気でないのに……
「じゃあ今度、私がケーキ焼いてきますね」
それなら食べてくれるでしょ?と明るく言う。
"みっくんの前では泣かない"って決めてるんだ。
「じゃあ…フルーツタルトがいいな」
「分かりました♪明日持ってきますね!」
「いいなー幸望りんのケーキ〜」
亮くんの言葉にみんなが笑う。
「みんなで食べようよ」
なんて言うみっくん。
ほら。
自分が病気でも、こうやってみんなに気を配って。
優しすぎだよ本当。
「食べられないフルーツとかありますか?」
「んー…特にないかな」
「俺も何でも好き〜♪」
「亮くんには聞いてないです」
「幸望りんまで冷たくなってる!!」
また、笑い声に包まれる病室。
みっくんを見ると、弱々しいけどちゃんと笑ってて安心した。
でも、気づくと苦しそうな顔をしている。
…待ってて、みっくん。
もうすぐ私が、みっくんを笑顔にしてみせるから。