anjel
5年後
瑞希がアメリカに行った日から5年が経った。
あの日も、こんなに晴れていたな…と
仕事場からの帰り道に空を見上げる。
今日は奏多、翔と約束しているから、
早めに帰宅。
と言っても、帰る場所は、
一人暮らししている家ではなく、
瑞希の家。
ここ最近行けてないから、
瑞希にも瑞希のおふくろさんにも
挨拶したいから。
瑞希の家に向かう途中で、
ビールやチューハイ、ケーキなどを買う。
瑞希のおふくろさん、甘いもの好きだしなあ……
と、ついつい多く買ってしまったケーキ。
こんなに誰が食うんだよ!と、
自分にツッコミを入れる。
商店街を歩いていると、
ふとショーウィンドウに映る自分の姿が目に入る。
慣れなかったスーツが、
なんとか自分にあってきた最近。
5年前より老けたように思えて、
ああ、そんなに年月が過ぎたのか、
と悲しくなった。