anjel
「じゃ、かんぱ〜い!」
「…ん」
「はいはい」
俺の言葉に呆れながらもビールの缶を
ぶつける2人。
「しかし、本当久しぶりだな」
元気にしてた?と奏多。
「…最近でかい仕事任されて、忙しいな」
大好物の唐揚げに喜んでる翔。
「俺もこの前でかい仕事終えたところ。超大変だったよ〜」
おふくろさんの十八番料理であり、
瑞希が大好きな魚の煮物を口に入れる。
「うま!」
「希(のぞみ)さん、相変わらず料理がお上手ですね」
「あら、ありがとう」
奏多の言葉に笑顔になる瑞希のおふくろさ……希さん。
「あなた達が来るって聞いたから、久しぶりに腕ふるっちゃった」
まだまだあるわよ〜と、新たな皿を運んでくる。
「…希さん、元気そうでよかった」
翔の言葉に、俺と奏多は頷いた。
5年前、一気に老けてしまった希さん。
しばらく寝込んでいた時期もあった。
俺らが毎日のようにここに来るようになってからは、
俺らのためにたくさんの料理を作ってくれて、
今ではすっかり元気になった。
…でも、一人になると、また泣いてしまってるんだろうな、と思った。
実際俺も、一人になると、泣きそうになるから。