anjel






歌い終わって目を開けると、知らない男の人がいた。


背の高い、男の人。


風になびかれて揺れる、こげ茶色の髪の毛。


アーモンド型の、吸い込まれそうな真っ黒な瞳。


(もしかして、聞かれてた……?)


「あ、あの……」


「上手だね」


「…え?」


忘れてください、って言おうとしたのに。






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