今日からトップ!?
私がトップ!?
「これで授業を終わる。
きりーつ、れーい。」
「「ありがとうございましたー」」
睡魔と戦い続けヘトヘトになったところで、戦いは一時休戦へと入る。
生徒たちは眠気などどこかへ吹き飛ばし、部活行くだの、遊びに行くだの、それぞれの放課後をスタートさせる。
「ヨリ・・・ヨリ・・・」
教室の窓際一番後ろという特等席で、睡魔に負け、いまだに夢の世界を彷徨っている少女が一人。
「末吉頼!!
いい加減起きなさいっ!」
「はいっ!!!」
末吉頼[すえよし より]。
こんなんでも、一応学年トップの成績を誇る、秀才。
「頼、授業もホームルームも、もう終わったよ?
置いて帰るからね?」
「いや、待ってよ、千秋!
見捨てないで?」
「ごめん、私今日バイトだから。
じゃあ、また明日ねっ?」
親友の斉藤千秋[サイトウ チアキ]は、手をヒラヒラさせながら、教室から出て行く。
千秋のケチ!
もう少し早く起こしてくれたって。
私は、重い身体をやっとこさ起こし、帰り支度をする。
さっきまでたくさんいたはずのクラスメイトは、いつの間にかいなくなって、教室には私一人。
「帰るか・・・」
鞄を手にとり、扉へとむかっていた最中、一人の男子生徒が教室へ入ってくる。
「おっ、末吉!
まだいたんだ?」
「高島くん!!」
高島颯太[タカシマ ソウタ]。
顔は整っていて笑うと八重歯が見え隠れする。
誰に対しても優しくて、年下年上同学年・・・とにかく全学年にファンが多い、サッカー部のキャプテン。
まぁ、いわやる学校のアイドルというやつ。
いるんだねー、そういうの。
しかも、おまけに頭が良く、一位二位をよく争っている。
そして、ちなみに。
私の片想いの相手。
「末吉、気持ち良さそうに寝てたもんな!
結局帰りのホームルーム終わってもまだ寝てるし・・・
さすがだな。」
なんて醜態さらしてんの、私!
「高島くん、部活?」
「うん、先輩が引退して、初めての大会が今度あるんだ!
負けるわけにはいかないよ」
「そっか・・・頑張ってね!」
「ありがとう。
末吉・・・」
「ん?」
高島くんが、急に真剣な顔をするもんだから、反射的にドキっとしてしまう。
「その試合、見にこないか?」
「え?」
「末吉が応援に来てくれたら、絶対勝てそうな気がするんだ。
だめ、かな?」
そんなの、決まってる。
「絶対行く!!」
「良かった・・・」
高島くんは照れたように、笑った。
私は高島くんの、笑顔が大好きなんだよ。
「じゃあ、練習戻るな!
気をつけて帰れよっ」
高島くんは、笑顔で手をふり、教室から出ていく。