今日からトップ!?
「なぁー、頼。
いい加減機嫌なおせってー!」
「頼、悪かった・・・」
「頼、そんなに怒ってると、シワ増えておばさんになるよ?」
「うるさい!」
もう、ノブのやつ。
早く帰ってきなさいよ。
「ヨリさん。」
男の人が一人、アジトへ入ってくる。
「えっと・・・たしか・・・」
「白野江。」
侑哉くんは、私の前に立つ。
そっか、たしかBRAINのトップ。
「侑哉、本当にすいませんでした。」
白野江さんは、頭を深々と下げる。
「え・・・?」
侑哉くんはその突然の謝罪に動揺している。
「俺は、BRAINを率いてテッペンとることで必死で。
侑哉を自分の手駒のように・・・
でも、それって意味ないですよね。
メンバーを大切にできない・・・
メンバーを守れないトップは、トップなんかじゃない。」
白野江さん・・・
「俺はそんな大切なことを、
頼さんに気づかされました。」
白野江さんは私の手をとる。
「ありがとう・・・」
なんか、ほんと・・・
様になるなぁー。
白野江さん、長身で、鼻も高くて目がクッキリしていて、
「ちょっと待った!!」
秀太郎が私を引っ張り、竜くんが白野江さんを引っ張り、
私と白野江さんを離れさせる。
侑哉くんは、私と白野江さんの間に立つ。
「許す、許すから、
これ以上頼に触るな近づくな見るな!!」
侑哉くんは、白野江さんにむかって、そう言う。
「あと・・・
ありがとう。」
侑哉くんは、照れ臭そうにそう言った。
「友達にいじめられてた僕を助けてくれたのは、あんただから。」
「侑哉・・・」
侑哉くんと白野江さんの間には、
私は知らない二人の過去がある。
ちょっと寂しいな。
ノブは全部知ってるんだろうな。
秀太郎のことも、竜くんのことも、侑哉くんのことも、
他のメンバーのことも。
私は、皆の今までを知らないから。
ノブがうらやましいな。