今日からトップ!?
「連絡取れないってどういうことよっ・・・
信、信はっ?」
私は秀太郎の胸ぐらを掴む。
信と私は、双子。
親が間違うくらい、ソックリ。
この歳になっても間違われるんだから、大問題だ。
私の両親は、私たちが中学三年の時に離婚した。
お互い好きなことをしたいらしい。
私はお父さん、信はお母さんと住むことになった。
まぁ、たまに会ったりするんだけどね。
父さんと母さんも、仲良いし。
離婚した理由が分からない。
「だから、頼。
ノブが帰ってくるまで、
ノブの代わりをしてくれないか?」
「・・・は?」
「ノブになりきって、このチームのトップにいて欲しい。」
いや、
いやいやいや・・・
ありえないでしょうよ。
だって、私一般人。
ごくごく普通の、どこにでもいる女子高生。
喧嘩に勝てるはずもない。
ってか、喧嘩したくない。
平和主義!!
私はごく普通に、高校生活送りたいんです。
こんな、ね。
悪いグループでないとは言え、不良グループ。
しかも、トップなんて・・・
「丁重にお断りします、はい。」
「そこをなんとか!!」
「そもそも、ね。
ほら、私女子高生だし?
てか、こんなグループと付き合ってるってバレたら、退学になっちゃう!」
「心配すんなって、侑哉、あれ出してくれ。」
「サイズを多少直しておいた。」
メガネをかけ、少し長めのサラサラの髪で瞳をかくしている、謎の少年が、カバンから、なにやら、服を取り出す。
「なに、これ。」
「ノブのトレードマークのパーカー。
レプリカだけどな。
ほら、ノブいっつも灰色のパーカー着てんだよ。」
灰色のパーカー。
それは、私が誕生日に信にあげたパーカー。
使ってくれてるんだ。
信・・・
「ま、とりあえず、着替えた方がいいんじゃない?
どちらにしろ、そんな格好でここから出て行くとこ見られたら、退学。」
謎の少年がいうことは最もで。
私はしぶしぶ、隅の物置で着替える。
「うわ、ノブ!
ノブそのものじゃん!」
パーカーに、六分丈くらいのズボンを履いた私の姿を見て、口々にそう言う。
私も鏡を見てビックリした。
信と、ここまで似てるとは。