今日からトップ!?
「こりゃこりゃ、ACEの幹部の皆様のお揃いで。」
「誰だかわかんねーけどよ、
うちのトップに手だしたってことは、覚悟ついてんだよな?あ?」
秀太郎が、男の胸ぐらを掴む。
「誰だか、わかんない!?
いやいや、そんなことねーだろ。
夜露死苦団のトップだよ、トップ!
お前らがボコボコにしたチームだよ」
夜露死苦団・・・?
なんてネーミングセンスの無さ。
「竜、そんな変な名前のチームいたっけ?」
「知らない。」
「侑哉、知ってるか?」
「知らない、そんな雑魚チーム。」
秀太郎たちは、男の人の目の前で、堂々と失礼な言葉を並べている。
「てめーら、どんだけ失礼なやつなんだよ。」
男は、ハサミを取り出し、私のパンダのキーホルダーの、パンダの手を切り落とす。
「っ・・・」
「俺が可愛いくしてやるよ、ノブさんに似合うように・・・」
男はニヤニヤしながら、もう片方の手にもハサミをあてる。
「パンダのキーホルダー?誰の?」
「あれって・・・まさか!」
秀太郎が頼の方を振り向いた時には、時すでに遅し。
そこには、パーカーのフードを被った頼がいた。
「あんた、僕のモノに、何してくれてんの?
許さないよ・・・?」
先ほどのあの弱々しい頼とは違う。
パーカーのフードから覗く殺気だった目、握りしめた拳・・・
「ノブそのものじゃねーかよ、頼・・・」
頼は、思いっきり男の頬を拳で殴る。
男は、一発でその場に倒れこんでしまう。
「一発で倒れた!?」
長身男、竜は、普段からは想像できないような驚いた表情を見せる。
「もう伸びちゃってるし・・・」
メガネくん、侑哉は、倒れている男を、つんつんとつつく。
「頼・・・おまえ・・・」
小さい頃からよく知ってる秀太郎も唖然としながら、頼と男を交互に見る。
「おまえが怒ったら怖いってのは知ってたが・・・
男一人を一発で倒せるほど強くなってたとは」
頼は、男の手からパンダのキーホルダーを取り上げ、地面に転がっているパンダの手を拾いあげる。
そして、涙をこぼす。
「私の、パンダさんが・・・」
すでにフードは脱いでいて、
いつもの頼の姿。
「信から、信から貰ったのに・・・」
お母さんとお父さんが離婚するってなった時、
信が、
"離れてても兄妹だからな"
って、くれたお揃いのパンダのキーホルダー・・・
「踏まれちゃった・・・腕、腕切られちゃった・・・」
「頼・・・」
秀太郎は、泣きじゃくる頼の背中を優しくさする。