今日からトップ!?
「そうそう、そこは代入。」
「あー、なるほど!!」
やはり、侑哉くんの頭脳は素晴らしいと思う。
教え方もうまいし。
「やっべぇ、全然分かんねぇ。」
「なんで数学なのに、アルファベット?
矢印もある・・・」
まぁ、竜くんと秀太郎は、どのように義務教育を過ごしてきたのか、お聞きしたい。
「侑哉くん、先生になればいいのに。」
「僕が先生?
面白いこと言うねー」
侑哉くんはバカにしたようにニコニコ笑って来る。
結構本気で言ったんだけどなぁ。
「僕、人に教えるの嫌いだもん。」
侑哉くんは、数学は自分で解いて遊ぶのが楽しいんだよー、なんて言っている。
要するに・・・
嫌々ながら、私がトップだから教えてくださっているのか?
「・・・頼だからだよ。」
「え?」
「頼だから教えてるの。
分かった?」
侑哉くんは、ニコッとして、首を傾げる。
「トップだから・・・?」
どうやら私の心の声を、彼は頭の耳で聞き取ったらしい。
「僕がノブに教えると思う?
絶対ないね。」
「そっかそっか、私だから、か・・・」
「頼、何ニヤニヤしてんの?
そんなに嬉しかった?」
「ちがっ!!」
ひねくれ者の侑哉くんがそんなこと言ったら、ちょっぴり嬉しい。
弟が、普段お姉ちゃんとか言わずに名前で呼び捨てで呼んでくるくせに、ふとした瞬間、お姉ちゃん!って呼んでくれた時の姉の気分?
弟いないから知らないけど。
「あー、腹減ってきた。
竜買い出し行こうぜー」
「あぁ。」
勉強についていけず、退屈していた2人が、アジトから出て行く。
「頼!」
「ん?」
「やっと2人だね!」