シンデレラをアレンジしてみたら…

***

ある日、お城から手紙が届きました。

なんでも、シンデレラのすむ国の王子さまの花嫁を選ぶために国中の娘を集めて、舞踏会をするんだとか。

「…ってか、私の名前、無いし」

シンデレラはまだまだ若いという自覚はあったので、

国中の娘っていってるのに変なの?と首を捻りながら、手紙を渡しました。

手紙をみた継母たちは大興奮。

「早速、エステに行かなきゃ!」

バタバタと家を出ていきました。

「…手紙に書かれてた日まで、あと一週間はありますけど」

ため息をつきながら、シンデレラも家を出ました。

エステ?んなとこ行くか、アホ。

シンデレラが向かった行き先は、仲良くしているご近所さん。

継母たちが横暴な振る舞いをしている間に、シンデレラはご近所さんとの繋がりを強くしておきました。

じつは、この地域で継母たちが仲間外れにされてるなんて、あいつらは夢にも思わないだろうな

クスッと思わず漏れた笑みを押さえながら、シンデレラはある依頼をしました。
ご近所さんは快く引き受けてくれました。

***

数日後、依頼した案件がわかったと、ご近所さんから手紙が届きました。

手紙の内容はシンデレラの戸籍について。

詳しく書かれていたので、じっくり読んでいってわかったことを簡略化すると

シンデレラの戸籍はもうなく、いじったのは継母たちであるらしい

ということ。

シンデレラはガチギレしました。

今まで、家事とか引き受けてやってたけど、人の戸籍いじるって何やってんだ、オイ。

とりあえず、イライラを押さえてご近所さんへ感謝の手紙を書きました。

最後に一つ、お願いを添えて。

***

そして、舞踏会当日。

朝から継母たちは、そわそわしていました。

ドレスをとっかえひっかえしたり、シンデレラに言いつけて髪型を何度も変えてもらったり。

継母までオシャレしているので

日頃「私はまだ若いわ!!」とかいってるけど、あんたは確実にもう娘じゃないよ

と思ったことを口に出しそうになりながら、シンデレラはイライラしていました。

「行ってくるわ!!」

「シンデレラは留守番よ!」

「床でも拭いてなさい!」

口々に好きなことを言いながら、バタバタと出ていきました。

「はぁ、やっと行った…」

シンデレラは静かに戸棚に隠してあった袋を取り出しました。

ご近所さんによって、手に入れたものです。

「これを使えば…」

そのとき、椅子に座っていた、シンデレラの背後に、いきなり人が現れました。

「あなたを舞踏会にいかせてあげましょうか?」

現れたのは魔法使いでした。

「わっ!!誰あんた!?不法侵入なんだけど」

「えっ!?」

思わず慌ててしまったものの、コホンと一つ咳払いをして取り直す。

「あなたに魔法をかけてあげましょう!」

「結構です」

即答で断ったシンデレラ。

「そ、そんなこと言わずに…。幸せになりたいでしょう?」

「『女性の幸せ=王子さまとの結婚』という、片寄った考え方ね。
それ以外にも幸せになる方法なんて、ざらにあるわよ」

にべにもなくあしらうシンデレラに魔法使いは半泣き状態です。

「私が怒られちゃうんです〜。あなたを幸せにしないと」

「…それが本音か」

シンデレラはしばらくじっと考えました。

「…じゃあさ。私が今から言うもの、作ってよ。何でもいいでしょ」

「私にできる範囲であれば…」

「じゃあ…」

***

翌日。シンデレラの家で三人の遺体が見つかりました。

亡くなったのは継母と姉。

舞踏会で王子さまに選ばれなかったのに絶望して、命をたちます…といった内容の書き置きが置いてあり、警察は自殺として判断した。

テーブルの上にはスープが置いてあり、中から毒物が発見されたという。

***

その後シンデレラは、

継母たちからの圧力もなくなり

ご近所さんと仲良く

一人自由に幸せにくらしましたとさ。

めでたしめでたし?

END。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop