悪魔の微笑み





心に安堵が押し寄せる。

九死に一生を得た気分だ。

あぁ、あたしにはやっぱり正樹君が相応しい。






あたしの後ろにいる正樹君は、心配そうな顔をしていて。





「玲、今日、何か変だよ」




あたしにそう告げた。




何か変。

重々承知だ。

あたしを変にさせているのは、他ならぬ輝だから。






「玲、何だか追い詰められているみたい」




正樹君の言葉が胸に刺さり、涙が出そうになる。






正樹君に頼りたい。

輝をやっつけてと言いたい。

だけど、輝の正体を話すと、輝は正樹君を消してしまうかもしれない。

それだけじゃない。

あたしの存在すら危なくなる。

それでもお兄ちゃんの言うとおり、一人でいるのは危険かもしれない。

正樹君の存在は、吉と出るのか凶と出るのか……。




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