悪魔の微笑み
「いないよ。
……つか、俺は難しい男だからね」
「えーっ!?」
教室中に女子たちの叫びがこだました。
輝を囲む女の子たちは、みんな目をきらきらさせていて。
「じゃ、あたしが彼氏になるぅ!」
「難しい男も大歓迎だよぅ」
黄色い声を上げていた。
馬鹿馬鹿しい。
小声でそう呟き、きゃあきゃあ騒ぐ集団に背を向ける。
良かったじゃん。
女の子いっぱい捕まって。
あたしなんかより、彼女たちを狙えばいいじゃん。
そう思うのに、心が痛くて胸が張り裂けそうで。
あたし、どうしてしまったの?
自分に問いかけた。
あんな奴、いなきゃいい。
そう思うのに、どうしてこんなに切ないの?