悪魔の微笑み





そっと雛を持ち上げ、手で包み込む。

その間にも雛は体温を失い、冷えていった。

何より、あたしの魔力が雛の具合をさらに悪くさせているようで。

慌てて地面に置き直した。





死なせたくない、助けたいと思うのに、触れることすら出来ないなんて。




あたしは……

悪魔は、誰かを元気にすることなんて出来ないの?





なす術もなく雛を見つめるあたしは、雛と同じように震えていた。



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