悪魔の微笑み







輝は屈み込み、優しく雛を包み込む。

一瞬、辺りが明るくなったような気がした。




雛の震えは次第に小さくなり、傷すら癒えていく。

まるでその癒しの力は映画のよう。




やがて雛は元気な鳴き声を発し、それを確認すると、輝はあたしに手を突き出した。





「え……」




思わず後ずさりするあたし。

あたしの脳裏には、さっきの出来事が色濃く焼き付いていた。





せっかく元気になったのに、あたしが触れると、また弱ってしまう。





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