悪魔の微笑み





何よ!?




嫌悪を込めて輝を見る。

だが、




「馬鹿かてめぇ」




返ってきた言葉は、恐ろしい暴言だった。





「気付かねぇのかよ。

お前の姿が見えていないことに」



「え!?」




輝をまじまじと見る。

輝はあたしに目を落とすこともなく、唇をほとんど動かさず、腹話術のように告げる。




「ここでてめぇが無茶したら、

俺だけじゃなくて、てめえの存在も危ねぇからな」




全身に震えが走り、思わず立ち止まってしまう。

だが、




「早く進め」




輝は容赦しない。

奴は本当に恐ろしい。






だけど……




だけど、小鳥の命を救ってくれたよね?

あたしのお願いを聞いてくれたよね?

本当に悪魔みたいな奴だけど……



少しだけいい奴かな、

なんて思った。





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