悪魔の微笑み



ひらすらもがいた。

姿を消そうとしたが、輝のせいか出来なかった。

魔力がだめならと、ドアから転がり出ようともした。

すると、輝はあたしをひと睨みし、ドアに鍵をかける。

完全に閉じこめられたあたしは、しかめっ面で前を向いた。







「何であたしなの?」




あたしの存在なんて気にもしていないように運転を続ける輝に聞く。

わざとそっぽを向き、顔を見ないようにする。

輝はいちいち鼻で笑い、言葉を返した。




「理由なんてねぇよ」




その言葉に苛つく。




「ただ、面白いから」






最低だ。

こいつは、自分の娯楽のためにあたしで遊んでいるなんて。





あたしは思わず輝を見て、きっと睨んだ。

だけど……

運転するその横顔があまりにも綺麗で、ふらふらしてしまう。

胸がどくんと鳴った。




何考えててんだろ、あたしの馬鹿!!





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