悪魔の微笑み




ずっと輝が消えてくれればいいのに、と思っていた。

そして、その方法にやっとたどり着いた。

あたしは自分の身を犠牲にして、輝を滅ぼすことだって出来る。

だけど何でだろう。

どうしてこんなに心が痛いの?






気がつくとあたしの頬を涙が伝っていた。

自然と嗚咽が込み上げてくる。






扉の隙間から、輝の横顔が見えた。

目を伏せ、口をつぐんでいる。

その切なげな顔が、あたしの胸を掴んで離さなかった。




< 141 / 307 >

この作品をシェア

pagetop