悪魔の微笑み





あたしを待っている……

いや、輝はアキを待っている。




何で今まで気付かなかったのだろう。

輝は、「あたし」なんてどうでもいいって。




そこを利用して、肉体関係を結んでしまえばあたしの勝ちなのに。

なのに……

どうしてこんなに辛いの?







ふと、明里さんの手が頬に触れる。

温かくて心地よくて、だけど酷く消耗する。

輝と同じだ。







「玲ちゃん、聞いてたんだ」




明里さんはゆっくりと言葉を発する。

あたしを悪魔と知っても、明里さんは優しく接してくれる。

本当に天使のような人だ。




だけど……

こんなに優しいのに……

明里さんは、輝をあたしから離そうとしている。

あたしにアキを重ねている輝を。




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