悪魔の微笑み





そんなことを考えていると、あたしの心の中の悪魔が動き出す。

憎しみが湧いて、全て消してやりたいなんて思う。

いや、あたしが泡となって消えた方がいいのかもしれない。




今のあたしの心は、空虚で真っ暗で。

明里さんのどんな言葉も信じる気になれなかった。






「輝が待ってるとか……

きれいごと言わないでください」




あたしの声は、低く震えていた。

溢れる涙をぐっと我慢した。




「玲ちゃん!?」




慌ててあたしに駆け寄る明里さん。

あたしは、そんな明里さんを突き飛ばしていた。

部屋に明里さんの悲鳴が響き渡り、明里さんは壁に音を立ててぶつかった。





無様に座り込む明里さんを見て、あぁ、あたしはやっぱり悪魔だと再確認する。

憎しみと孤独に溢れた、醜い悪魔だよ。






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