悪魔の微笑み




どくんと胸が脈打つ。

寒気があたしを襲う。




なんで……


なんでよりによって……






「内緒だよ」




有希は肩をすくめて笑った。

あたしの胸の中の何かにヒビが入った。






輝があたしを諦めてくれれば、全てが上手くいくはず。

奴の消滅も、無理な肉体関係もなく、奴はあたしの前から姿を消すかもしれない。

あたしは、そんな終わりを望んでいたのに。





……なのに、どうしてこんなに胸が苦しいの?







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