悪魔の微笑み




有希には抜け駆けなんて思われるかもしれない。

いや、あたしの行為は、紛れもなく裏切り行為だ。

有希は、正樹君との関係をあんなに応援してくれたのに……

あたしは、有希に隠し事ばかり作っていく。

最低な女だ。





だけど……



止められないんだ。

アキのことが気になってしかたがない。








ギギギ……




蝶番が軋み、部屋の中に光が射し込む。






「いらっしゃい」




聞いたことのある男性の声が聞こえ、あたしの前に黒服の男が現れる。

鼓動は速いが、なぜかあり得ないくらい落ち着いているあたしがいた。



< 161 / 307 >

この作品をシェア

pagetop