悪魔の微笑み





「あ、玲ちゃん……」




黒服の男……聖さんは、あたしを見て困ったように頭を掻いた。

その仕草を見るだけで、あたしはお邪魔虫だと察する。

それに言ってた。

聖さん、ガキは苦手だって。





だけど、あたしは引かない。

引いてやらない。






「昨日、大丈夫だった?」




気まずそうに聖さんはあたしに聞いた。




大丈夫も何もない。

頭が真っ白になったあたしは、そのまま家に逃げ帰ったのだから。

どうやって帰ったのかすら覚えていない。





「はい。何とか……」




そう答え、




「昨日はご迷惑をおかけしました」




頭を下げた。





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