悪魔の微笑み
あたしは悪魔なのに。
本来、嫌われるべき存在なのに。
「どうしてそんなに優しいのですか?」
思わず聖さんに聞く。
「優しい?
そんなことないよ」
「いえ、聖さんは優しいです!
こんなあたしのために……」
「ま、俺が輝の保護者役だからね」
聖さんはそう言って、再び笑った。
そして、あたしをカウンターへ誘導する。
そのすらっとした背の高い後ろ姿すらイケメンで、見とれてしまう。
そして、その優しさはまさしく天使だ。
「ジュースでも飲んで、落ち着いてから帰りな。
サービスするから」
あたしは、カウンターに立つ聖さんをぼーっと眺めていた。
まるで何かのゲームやアニメのキャラクターみたいな非の打ち所がない容貌。
その長い手で、慣れた手つきでカクテルを作っていく。
聖さんこそが憧れの大人の男性だ。
輝とは大違い。