悪魔の微笑み




あたしは悪魔なのに。

本来、嫌われるべき存在なのに。




「どうしてそんなに優しいのですか?」




思わず聖さんに聞く。





「優しい?
そんなことないよ」



「いえ、聖さんは優しいです!

こんなあたしのために……」



「ま、俺が輝の保護者役だからね」




聖さんはそう言って、再び笑った。

そして、あたしをカウンターへ誘導する。

そのすらっとした背の高い後ろ姿すらイケメンで、見とれてしまう。

そして、その優しさはまさしく天使だ。






「ジュースでも飲んで、落ち着いてから帰りな。

サービスするから」









あたしは、カウンターに立つ聖さんをぼーっと眺めていた。





まるで何かのゲームやアニメのキャラクターみたいな非の打ち所がない容貌。

その長い手で、慣れた手つきでカクテルを作っていく。

聖さんこそが憧れの大人の男性だ。

輝とは大違い。



< 164 / 307 >

この作品をシェア

pagetop